もち麦とは、もち性の大麦のことです。もち麦には食物繊維が多く含まれ、食後血糖値の上昇抑制効果や、ダイエット効果があるといわれています。しかし、もち麦を食べてこれらの効果を実感するためには、相当な量を食べる必要があり、現実的ではありません。もち麦のメリット、デメリットを、科学的根拠に基づいて整理してみました。
もち麦とはもち性の大麦、アミロペクチンが多く含まれる
お米に「うるち米」と「もち米」があるように、大麦にも「うるち性の品種」と「もち性の品種」があります。「もち麦」はもち性の大麦の総称です。「もち麦」という品種があるわけではありません。
お米も大麦も、主成分はでんぷんです。
でんぷんには「アミロース」と「アミロペクチン」という2種類があり、アミロペクチンが多いでんぷんは、水を吸うと膨らみやすく、さらに加熱すると柔らかくなり、粘り気が出てきます。
もち性の品種はうるち性の品種に比べて、アミロペクチンを多く含むため、調理したときに、モチモチした食感になるのです。
大麦のアミロースとアミロペクチンの比率は次の通りです。なお、もち米にはアミロースは含まれていませんが、もち麦にはアミロースが 5 % ほど含まれています。
アミロペクチン | アミロース | |
---|---|---|
うるち性の大麦 | 75% | 25% |
もち性の大麦(もち麦) | 95% | 5% |
もち麦には食物繊維が多いというのはホント?
もち麦には食物繊維がごぼうの 2 倍、玄米の 4 倍 含まれていて、現代人に不足しがちな食物繊維を簡単に摂ることができるスーパー食材、しかもダイエット効果がある。ネット上にはこのように書かれています。
本当にそうなのでしょうか。
もち麦を紹介しているサイトには、必ずといっていいほど「食物繊維が多い」と書かれています。ただ大半のデータは「当社分析値」「当社調べ」です。これは、もち麦を売りたい人がいっているだけで、第三者機関が分析した結果ではありません。
いろいろと調べた結果、日本食品分析センターが分析したデータが見つかったので、あわせて紹介します。それぞれ、対象物 100 g 中に含まれる重量で示しています。また ( )内の数字は、当サイトが計算した数値です。
掲載場所 | 対象物 | 食物繊維 (g) |
うち水溶性 食物繊維 (g) |
うち不溶性 食物繊維(g) |
備考 |
---|---|---|---|---|---|
A社サイト | もち麦 | 12.9 | 9.0 | 3.9 | 当社分析値 |
B社サイト | 蒸しもち麦 | 5.3 | 3.8 | 1.5 | 当社調べ |
C社サイト | 国産もち麦 | 11.9 | 7.7 | (4.2) | 製品の栄養成分表示 |
外国産もち麦 | 14.2 | 9.9 | (4.3) | ||
D社サイト | キラリモチ | 15.6 | - | - | 日本食品分析センター、広島県環境保険協会の分析値から算出 |
E社サイト | キラリモチ | 10.3 | - | - | 当社分析値 |
F社サイト | 不明 | 12.9 | 日本食品分析センター分析値 | ||
Gサイト | 不明 | 9.6 | - | - | 不明 |
農研機構資料1) | キラリモチ | 12.1 | 7.3 | 4.8 | 日本食品分析センター分析値 |
1) もち性大麦品種「キラリモチ」の魅力、国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構(2018)
この中でもっとも信頼できる数値は、国立研究機関である農研機構の資料に掲載され、かつ、第三者機関である日本食品分析センターが分析した、試料 100 g あたり 12.1 g (水溶性食物繊維 7.3 g、不溶性食物繊維 4.8 g )です。ただしこれは、キラリモチという農研機構が開発した二条大麦の数値です。
この数値を、他の食品に含まれる食物繊維量と比べてみましょう。
数値は 可食部 100 g に含まれる量です。データは文部科学省が作成・公表している日本食品標準成分表(2020年版)(八訂)に掲載されている数値です(以下同じ)。
食物繊維(g) | うち水溶性食物繊維(g) | うち不溶性食物繊維(g) | |
---|---|---|---|
もち性二条大麦 キラリモチ |
12.1 | 7.3 | 4.8 |
こぼう/根・生 | 5.7 | 2.3 | 3.4 |
水稲穀粒/玄米 | 3.0 | 0.7 | 2.3 |
これを見る限り、もち麦に含まれる食物繊維が、ごぼうの2倍、玄米の4倍というのは、ウソではありません。でも、下のデータも見てください。こちらも可食部 100 g に含まれる食物繊維の量です。
食物繊維 (g) | うち水溶性食物繊維 (g) | うち不溶性食物繊維(g) | |
---|---|---|---|
もち性二条大麦 キラリモチ |
12.1 | 7.3 | 4.8 |
こぼう/根・生 | 5.7 | 2.3 | 3.4 |
水稲穀粒/玄米 | 3.0 | 0.7 | 2.3 |
大麦/押麦 | 7.9 | 4.3 | 3.6 |
大麦/米粒麦 | 8.7 | 6.0 | 2.7 |
じゃがいも/塊茎、生 | 8.9 | 4.9 | 4.0 |
おから/生 | 11.5 | 0.4 | 11.1 |
おから/乾燥 | 43.6 | 1.5 | 42.1 |
糸引き納豆 | 6.7 | 2.3 | 4.4 |
えだまめ/ゆで | 4.6 | 0.5 | 4.1 |
食物繊維を多く含む食べものは、他にもたくさんあります。もち麦に含まれる食物繊維は「ごぼうの2 倍」といっていますが、「じゃがいもの1.4 倍」ともいえます。野菜として使う頻度が高いじゃがいもを、あえて挙げていないところに、何か恣意的なものを感じます。
また、ごぼう 100 g(2/3本に相当)食べるのは大変ですが、じゃがいも 100 g(2/3個に相当)くらいなら、ふつうに食べますよね。要するに、じゃがいもを比較対象にしたくない、というのが、見え見えです。
もち麦の食べ方としては、ごはんに3割くらい混ぜて一緒に炊くというのが一般的なんだそうです。
ごはん1膳でお米 65 g なので、3 割混ぜるとすると、もち麦は 20 gになります。そうすると、もち麦ごはんの食物繊維の量は、次のようになります。
食物繊維 (g) | うち水溶性食物繊維 (g) | うち不溶性食物繊維(g) | |
---|---|---|---|
もち麦ごはん1膳 | 2.8 | 1.8 | 1.0 |
うち、もち麦 | 2.5 | 1.5 | 1.0 |
うち、お米 | 0.3 | 0.3 | 0 |
白米ごはん1膳 | 0.3 | 0.3 | 0 |
納豆1パック | 2.7 | 0.9 | 1.8 |
じゃがいも1個 | 13.4 | 7.4 | 6.0 |
しかし、白米のごはん 1 膳に納豆 1 パック(40 g)で、もち麦ごはんを上回る量の食物繊維が摂れるます。またじゃがいも 1 個をじゃがバターにして食べると、もち麦ごはん 5 膳分の食物繊維が摂れることになります。
まとめると
・もち麦に食物繊維が多く含まれるのは事実ですが、食物繊維が多い食べものは他にもたくさんあります。
・食物繊維が○○の○倍多い、という表現は当てにしないほうがよいと思います。何を比較対象にするかで、どうにでもなります。
もち麦は糖の吸収を抑える?
もち麦を食べると、ダイエット効果がある、という記事もよく見かけます。根拠として挙げられているのは、主に
- 糖の吸収を抑える作用がある
- 腸内環境を整える作用がある
- 便秘を解消する作用がある
- 脂肪が消費されやすい体質に改善される
の 4 つです。本当にそうなのか、見ていきましょう。
まず糖の吸収を抑えるメカニズムについて考えてみたいと思います。
お米やもち麦の主成分はでんぷんです。でんぷんは唾液と膵液に含まれる消化酵素で分解され、グルコースとなって、腸壁の細胞から吸収されます。
糖の吸収を抑えるという根拠として挙げられているのが、もち麦に含まれる水溶性食物繊維のβ-グルカンです。
β-グルカンはでんぷんと同様、グルコースがつながってできていますが、結合の仕方が違うため、消化されません。β-グルカンは粘り気があるため、糖質の吸収をおだやかにする作用があります。
ただEUのルールによると、食後血糖値の上昇抑制効果があると表示するためには、1 食中の糖質 30 g あたり 4 g 以上のβ-グルカンが含まれていなければなりません。
- もち麦「キラリモチ」に含まれる水溶性食物繊維は、100 g あたり 7.3 g
- 大麦の水溶性食物繊維の 74 % がβ-グルカン
- 白米ごはん1 膳(150 g)に含まれる糖質は 53 g
- もち麦にも100 g あたり糖質が 65 g 含まれている(推定)
ということから計算すると、白米のごはん1膳にもち麦をどれだけ入れようが、糖質 30 g あたり 4 g のβ-グルカンは摂れません。もち麦だけを食べたとしても、1膳に含まれる糖質が 42 g、β-グルカンが 3.5 g なので、EUのルールに従えば、食後血糖値の上昇抑制効果があるとは表示できないことになります。
日本の機能性表示食品で「大麦β-グルカンには糖質の吸収を抑える」作用がある、と表示しているものがありますが、これは事業者の責任において表示することを消費者庁長官に届出しただけで、消費者庁長官による個別審査を受けた特定保健用食品(トクホ)とは全く違います。
β-グルカンには、糖の吸収を抑え、食後血糖値の上昇を抑える効果がありますが、お米に 3 割混ぜて食べたくらいでは、効果がない、というのが結論です。どれだけ食べる必要があるのか、書いていないのは、問題だと思います。
最後にもう一つ。β-グルカンを多く含むのは「もち麦」ではなく、「大麦」全般の特性です。もしβ-グルカンを多く摂りたいのであれば、もち麦よりも、β-グルカンを多く含む品種の「大麦」を選ぶのがよいでしょう。
もち麦は腸内環境を整え、便秘に効果がある
食物繊維が多く含まれているもち麦に、腸内環境を整える作用があるというのは本当です。
食物繊維を多く摂ると、これをエサとする善玉菌が増えます。水溶性食物繊維、不溶性食物繊維とも、この作用はあります。
ただ、これは食物繊維を多く含む食品すべてにいえることで、もち麦に限ったことではありません。
また、どれだけ食べれば効果があるかについては、個人差が大きいため、何とも言えません。後で説明しますが、食べ過ぎると、腹部膨満や下痢が起きることがあります。また過敏性腸症候群(IBS)の人は、摂りすぎないほうがよいと思います。
また、もち麦に便秘を解消する作用があるのも本当です。
これも、もち麦に食物繊維が多く含まれることによるものです。
もち麦には水溶性食物繊維と不溶性食物繊維が含まれますが、それぞれ作用の仕方が異なります。水溶性食物繊維は水を含んでどろどろの状態になり、便を柔らかくして出しやすくします。不溶性食物繊維は水を含むと膨張し、便の体積が増え、腸の壁を刺激します。その結果、腸の蠕動運動が起こり、排便しやすくなります。
何度もいいますが、これはすべての食物繊維についていえることで、もち麦に限った作用ではありません。
もち麦を食べると脂肪が消費されやすくなり、体質改善できる?
脂肪が消費されやすい体質とはどういう意味なんでしょか。
おそらく、もち麦に含まれる水溶性食物繊維が、血液中のコレステロール値を下げる作用があることを指しているのだと思います。
確かに研究の結果、そのような作用があることがわかっており、機能性表示をしている食品メーカーもあります。ただ、体質が改善されるというのは、言い過ぎのような気がします。水溶性食物繊維の摂取を止めると、そのような作用は現れなくなる可能性が高いと考えられます。
一方、水溶性食熱繊維が腸内で胆汁酸やコレステロールを吸着し、便として体外へ排出する作用があることを指しているとも考えられます。
確かにそのような作用はありますが、体質改善というほどの効果は得られないでしょう。高脂血症予備軍の人が、体質改善を期待してもち麦を食べたところで、大した効果は得られないでしょう。
高脂血症予備軍の人は、まずはカロリー制限と糖質制限を行うべきであり、炭水化物であるもち麦を食べると、逆効果になる可能性もあります。
もち麦のデメリット:おならと下痢
もち麦のメリットばかりが紹介されていますが、もち麦にもデメリットはあります。
まずおいしくありません。これは好みにもよるのですが、むかし食べられていた麦飯が廃れたのは、やはり白米100 % のごはんの方がおいしいからです。栄養的には玄米ご飯や麦飯の方が優れているので、これらを食べたほうがよいと個人的に思います。
次にもち麦は食物繊維が多いため、食べた後、おなかが張ることがあります。
これは腸内細菌が食物繊維を分解し、ガスに変えているからです。
水溶性食物繊維も不溶性食物繊維も、腸内細菌のエサになりますが、水溶性食物繊維の方が速く分解されるため、水溶性食物繊維の多いもち麦は、特にお腹が張りやすくなります。
また人によっては、腹痛になり、ひどい場合は下痢が起きることもがあります。
これは腸内でガスが発生するとともに、不溶性食物繊維が水を吸って膨張することで、腸の壁が刺激されることが原因です。腸壁が内部から押されると痛みを感じますし、その刺激が引き金となって、腸の蠕動運動が活発化します。激しい蠕動運動が起きた状態が、下痢です。
腹部膨満、腹痛、下痢の発生には、個人差があります。どれだけ食べても起きない人もあれば、少しの量で起きる人もあります。自分の体質に合うかどうか確認するしかありません。
あるサイトに、
「もち麦は夕食に食べないほうがよい。なぜなら、夕食に食べるものは朝食や昼食よりも消化が遅いものが多いため、おなかが張って苦しくなるから、と書いてありました。また朝や昼の方が消化吸収の働きがよい。」
とも書かれていました。これは医学的に何の根拠もないうえ、明らかに間違えています。
朝食や昼食でもち麦を食べておなかが張ると、仕事に差し障りが出ます。また活動が活発な昼間の時間帯は、消化吸収の働きが低下します。
よくもまあ、こんないい加減なことを書いたものだと、感心します。
もし、もち麦を食べておならが張るなら、食べないほうかよいと思います。おなかが張るのを我慢してまで食べるメリットはありません。
もち麦の品種
世間でいわれている「もち麦のすばらしさ」について説明してきましたが、最初にいったように「もち麦」という品種の麦があるわけではなく、大麦の中で「もち性の品種」をまとめてもち麦とよんでいるのです。
ここで大麦の種類・分類について説明しましょう。
まず大麦は「はだか麦」と「皮麦」の2つに分けられます。
大麦には皮がついていますが、この皮のはがれやすいものがはだか麦、はがれにくいものが皮麦です。
次に麦の穂の中の実の付き方で「二条大麦」と「六条大麦」に分けられます。
二条大麦は穂を真上から見たとき、二列だけ実が付きますが、一つ一つの実が大きいという特徴があります。一方の六条大麦は真上から見たとき、六列に実が付きますが、二条大麦に比べて実が小さいです。
このように大麦は、はだか麦/皮麦、二条大麦/六条大麦という分類によって、4種類に分けられ、それぞれ異なる用途で使われています。
皮の性質 | |||
はだか麦 | 皮麦 | ||
実の付き方 | 二条大麦 | 麦ごはん | ビール(大麦麦芽)、麦焼酎 |
六条大麦 | 麦ごはん、麦味噌 | 麦茶、麦ごはん |
では、もち麦はこのうち、どこに入るのでしょうか。実は 4 種類の大麦すべてに、もち性の大麦と、うるち性の大麦があるのです。わかりにくいので、図にしました。
繰り返しになりますが、もち性の大麦をまとめてもち麦と呼んでいます。
ところで、全国精麦工業協同組合連合会(全麦連)のホームページでは、なぜか「もち麦」という名称は使われておらず、「もち性大麦」と呼んでいます。また「もち性大麦」は「もち性遺伝子型を有する大麦」と定義しています。ちなみに「もち性遺伝子型」とは、次のようなものだそうです。
「もち性は、デンプン中のアミロースを欠くか、うるち性と比較してアミロースが著しく減少している。アミロースを合成する酵素であるGBSSI (Waxyタンパク質) の遺伝子領域に変異が起きることで、もち性の遺伝子型になる。この遺伝子領域の変異を特定することにより、うるち性品種ともち性品種を区別できる。」
もち性遺伝子型を持つことが確認された大麦の品種(=もち麦)は次の通りです。このうち二条皮麦はビール、焼酎の原料です。現在国内で「もち麦」として売られているものは、おそらくこの表にある品種のどれかでしょう。
国内産
品種名 | 麦種 | 出願者名/育成者権者名 | 出願公表 | 品種登録 |
---|---|---|---|---|
米澤モチ2号 | 六条はだか麦 | 米澤平一 | 1988/12/13 | |
ダイシモチ | 六条はだか麦 | 農研機構 | 1999/3/12 | 2000/2/22 |
セツゲンモチ | 六条皮麦 | 長野県 | 2000/8/4 | 2003/2/20 |
もっちりぼし | 二条はだか麦 | サッポロビール株式会社 | 2009/12/24 | 2011/9/13 |
キラリモチ | 二条はだか麦 | 農研機構 | 2010/1/25 | 2012/12/28 |
ワキシーファイバー | 二条はだか麦 | 農研機構 | 2015/10/30 | 2018/2/9 |
ホワイトファイバー | 六条皮麦 | 長野県 | 2016/7/27 | 2019/4/23 |
はねうまもち | 六条皮麦 | 農研機構 | 2017/2/23 | 2019/4/23 |
くすもち二条 | 二条皮麦 | 農研機構 | 2017/5/25 | |
もち絹香 | 二条皮麦 | 栃木県 | 2018/2/23 | |
富系1103 | 二条はだか麦 | サッポロビール株式会社 | 2015/2/12 | 2018/10/10 |
外国産
品種名 | 麦種 | 産地国 |
---|---|---|
Azhul | 六条はだか麦 | アメリカ |
BG006 | 六条皮麦 | アメリカ |
BG012 | 六条はだか麦 | アメリカ |
CDC Alamo | 二条はだか麦 | カナダ |
CDC Fibar | 二条はだか麦 | カナダ |
CDC Marlina | 二条はだか麦 | カナダ |
CDC Rattan | 二条はだか麦 | カナダ |
Julie | 二条はだか麦 | アメリカ |
Salute | 二条皮麦 | アメリカ |
Teddy | 二条はだか麦 | アメリカ |
Havener | 二条はだか麦 | アメリカ |
BG Katana | 六条はだか麦 | アメリカ |
Transit | 二条はだか麦 | アメリカ |
まとめ ~もち麦を食べるメリットはあるのか~
もち麦が好きだから、おいしいから食べるなら、もち麦を食べる大いにメリットはあります。ただ、健康によいと聞いたから、おいしくないけど食べるとか、食べた後お腹が張るけど我慢して食べる、というのなら、止めた方がよいと思います。
もち麦が体によいといわれる理由は、食物繊維が多いことです。食物繊維が多い食品は他にもあるので、食物繊維を摂ることを目的に、もち麦を食べることはお勧めできません。日本人の食生活で、食物繊維が不足しがちであるというのは事実です。でもその食物繊維を補う方法は、もち麦を食べることだけではありません。もち麦だけで食物繊維を補おうとせず、いろいろな食品を摂りつつ、食物繊維の摂取量を増やすようにしたいものです。
もち麦を売りたい人たちは、もち麦のメリットをいろいろと強調していますが、その作用が現れるために、どの程度のもち麦を食べればよいのか、その数値の根拠は何なのか、ほとんど明らかにしていません。もち麦を食べて、結果的に健康になったのであれば、それはすばらしいことと思いますが、健康になるためにもち麦を食べるというのはナンセンスだと思います。