タピオカの次はポッピングボバ! 違いと特徴、原料、作り方、食べ方

タピオカ粉はキャッサバというイモから採った粉で、サツマイモ粉や片栗粉(ジャガイモが原料)と似ています。

タピオカ粉に水を加えて粒にしたのが、タピオカパールです。一方、ホッピングボバは、ジュースなどの液体を海藻から取ったゼリー状の膜で包んだもので、コーティングジュースとも呼ばれます。

アルギン酸という成分を使っていますが、アルギン酸は消化できないので、カロリーはゼロです。詳しく見ていきましょう。

タピオカとポッピングボバは原料も成分も全く違う

タピオカは陸から、ポッピングボバは海から採れるのをご存じですか。

まず、タピオカの原料は熱帯で栽培されるキャッサバというイモです。一方、ポッピングボバの原料は、コンブやジャイアントケルプといった大型の海藻です。それぞれどのようにして、スイーツになるのか、順にみていきましょう。

タピオカの原料となるキャッサバは、東南アジア、アフリカ、南米で広く栽培されています。短く切った茎を地中に挿すとそこから根が出て生育するので、植え付けが非常に簡単です。またやせた土地でも栽培でき、収穫量が多いのが特徴です。栽培したイモには毒があるため、毒抜きしてから食べるほか、でんぷん(タピオカ粉)を採るためにも使われます。タピオカ粉の作り方は、じゃがいもから片栗粉を作るのと、基本的には同じです。

皮をむいたキャッサバに水を加えて粉砕すると、でんぷんを取り出すことができます。でんぷんは水中で沈殿するため、これを精製して乾燥することで、タピオカ粉が作られます。このタピオカ粉を水で溶き加熱すると、粘り気が出て固くなります。これを特殊な容器に入れて回転させると、丸い粒状のタピオカパールといわれるものができ上ります。通常はこれを乾燥して出荷し、使用する際に煮ることで、もとの状態に戻してから使います。

一方のポッピングボバですが、褐藻という種類の海藻に含まれる、アルギン酸ナトリウムという物質からできています。

アルギン酸ナトリウムは食品添加物としてさまざまな食品に使われており、特に危険なものではありません。例えば、ドレッシングには安定剤として、めん類には増粘剤として、たまごサンドの卵の部分にはゲル化剤として使われているほか、食物繊維としてもいろいろな食品にわざわざ添加されています。アルギン酸ナトリウムを水に溶かすと、とろみが生じますが、この濃度が高くなると、寒天のような透明な塊を作ります。この塊を作る際に、味・色・フレーバーを付けたものが、ポッピングボバです。

一度整理しましょう。タピオカの原料は、キャッサバというイモで、成分はでんぷんです。でんぷんですから、食べると消化・吸収されます。タピオカミルクティ1杯に入っているタピオカパールの量は乾燥重量で20~30gですが、これのカロリーは70~106kcalで、ごはん1/3から半膳くらいに相当します。一方、ポッピングボバの原料は、コンブなどの海藻で、成分はアルギン酸ナトリウムです。人間はアルギン酸ナトリウムを消化・吸収できません。腸内細菌による発酵分解を受ける比率も25%以下とされており、カロリーはゼロです。ただしポッピングボバは、果汁、糖類で味を付けている場合がほとんどなので、その分のカロリーは摂取していることを忘れないでください。

タピオカパールの作り方 丸くするのが難しいので買ったほうがよいかも

タピオカパールはタピオカ粉から作れます。

タピオカ粉は最近、大きなスーパーや通販で手に入れることができます。タピオカ粉をボウルに取り、熱湯を少しずつ加えながら混ぜていきます。タピオカに色や味を付けるときは、熱湯を加える前にタピオカ粉に混ぜてください。熱湯は少しずつ入れ、タピオカ粉100gに対して50mlが目安です。それ以上入れると、固まらなくなりますので注意してください。また必ず熱湯を使い、素早く作業することが大事です。お湯が冷めると、タピオカ粉が固まってしまいます。ある程度均一になったら、丸めていきます。市販のタピオカパールは、特殊な容器にタピオカ粉を水に溶かしたものを入れ、蒸気で加熱しつつ回転させて、雪だるまをつくるように大きな粒にしていきます。家庭ではそのようなことができないので、手で丸めることになります。完全な球体にならないのは、仕方ありませんね。

タピオカ粉は白いので、何も加えずに作ったタピオカパールは半透明です。一方、タピオカミルクティに入っているタピオカは、黒い粒であることが多いですね。これはカラメル色素で着色してあるためです。このほか黒糖で着色したものや、イカ墨で着色したものもあります。

いろいろな色、味のタピオカパールを作りたい場合は別として、タピオカバールは乾燥したものが安く手に入るので、購入するほうが手軽です。乾燥したタピオカバールを戻すときは、まず2時間くらい水に漬けてから、沸騰したお湯の中に水を切ったタピオカパールを入れて、20~30分茹でます。固さを確認して、ちょうどよい硬さになっていたら、火を消してさらに20分くらい蒸らすと出来上がりです。水に入った状態だと、水分を吸収してふやけてしまうので、冷蔵庫で保管し、2~3日のうちに使ってください。

ポッピングボバの作り方 材料さえあれば誰でも作れます

ポッピングボバの原料は、海藻から取ったアルギン酸ナトリウムという物質です。見た目は白い粉末で、寒天の粉末と同じようなものと考えてください。繰り返しますが、別に危険なものではありません。これに乳酸カルシウムという粉末が必要です。これもカルシウムを補給するために、食品添加物や医薬品としてよく使われる成分で、安全なものです。これだけでは、無味、無臭、透明の粒しかできないので、味、臭い、色を付けるために、オレンジジュースを使いましょう。オレンジ色でオレンジ味のポッピングボバができます。

  1. 乳酸カルシウムの粉末を水に溶かします。分量は、水1Lあたり乳酸カルシウム25gです。濃度でいうと、2.5%ということになります。
  2. アルギン酸ナトリウムの粉末をオレンジジュースに溶かします。分量は、オレンジジュース200mlに対しアルギン酸ナトリウム2gです。こちらも濃度でいうと、1%になります。
  3. アルギン酸ナトリウムを加えたオレンジジュースを、スポイトなどを使って、2.5%乳酸カルシウムの液に、1滴ずつ垂らしてください。すると、乳酸カルシウムの液中で瞬間的にアルギン酸の表面が固まり、外側は硬く、内側はオレンジジュースのポッピングボバができあがります。

この1滴がポッピングボバの1個の固まりになるので、量が少なすぎると、小さな粒しかできません。一方、アルギン酸ナトリウムを加えたジュースをスプーンで入れると、粒ではなく、スプーンで入れた形のまま、表面だけがゼリーのように固まります。

アルギン酸ナトリウムが固まる仕組みは次の通りです。アルギン酸ナトリウムは水に溶けていますが、アルギン酸カルシウムはゼリーのように固まる性質があります。アルギン酸ナトリウムの水溶液を乳酸カルシウムの水溶液に入れると、アルギン酸ナトリウムのうち、カルシウムイオンと接する表面の部分だけが一瞬のうちに寒天のように固まります。一方、内側はカルシウムイオンと接することはないので、アルギン酸ナトリウムのままです。

ここではオレンジジュースを使いましたか、コーラなどの炭酸飲料でも、コーヒーやお酒でも作ることができます。もうお分かりかと思いますが、牛乳のようにカルシウムが入っている飲み物は使えません。豆乳なら大丈夫です。みなさん好きな味のポッピングボバを作って楽しんでみてはどうでしょうか。

コンビニのタピオカドリンクのタピオカはタピオカではない?

最近、コンビニでもタピオカが入った飲み物を買うことができます。わざわざ専門店に行かなくても、気軽にタピオカドリンクを楽しめるようになりました。でも、このタピオカ、本当のタピオカではないって知ってました?

タピオカパールは液体の中に長時間入れておくと、でんぷんが水分を吸って、ふやけてしまいます。お餅を汁の中に入れたままにしておくと、ふやけて溶けてしまうのと同じ原理です。タピオカドリンク店は、注文を受けてから、タピオカとドリンクを混ぜています。一方、コンビニで売られているタピオカドリンクは、工場でドリンクとタピオカをパックして、チルドで配送されてきます。賞味期間はそれほど長くはないですが、タピオカがふやけて食感が落ちるはずです。では、なぜふやけていないのでしょうか。それはタピオカ粉ではなく、こんにゃく粉から作られているからです。こんにゃくはでんぷんではなく、グルコマンナンという成分です。でんぷんとグルコマンナンは、どちらも水に溶けませんが、全く違う物質です。

  • でんぷん … 消化・吸収される(→カロリーがある)、水を吸って膨張する
  • グルコマンナン … 消化・吸収されない(→カロリーゼロ)、水を吸わない

違う物質なので、当然、食感も味も違います。タピオカ粉から作られたタピオカは、もっちりしていて、ほのかに甘みがありますが、こんにゃく粉から作られたタピオカは、ぷにぷにして歯ごたえがあり、こんにゃく特有の味と臭いがあります。

こんにゃく粉から作ったタピオカでも、タピオカと表示して問題ないようなのですが、個人的にはまずいのではないかと思います。コンビニで販売しているタピオカドリンクは、原材料表示の義務があるので、容器を見れば、こんにゃく粉が使われていることはわかります。一方、タピオカドリンク店で売っているドリンクは、原材料表示の義務はありません。コストを下げるためにこんにゃく粉を使っていても、タピオカとして売ることができてしまいます。

まとめ

タピオカはキャッサバという熱帯でとれるイモのでんぷんから作られます。タピオカドリンクに入っている丸い粒をタピオカパールといいますが、これの主成分はでんぷんで、タピオカドリンクに1杯に入っているタピオカパールだけで、ごはん1/3~1/2のカロリーがあります。

一方、ポッピングボバはコンブなどの海藻から取れるアルギン酸から作られます。アルギン酸は消化・吸収されないので、カロリーはゼロです。ただポッピングボバは、別名コーティングジュースといわれるように、ジュースや炭酸飲料をゼリーのようなアルギン酸の膜で包んだものです。アルギン酸はカロリーゼロでも、ジュースや炭酸飲料にはカロリーがあります。