食欲がないと、冷たいめん類やアイスクリームについ手が伸びてしまいます。「夏バテに効く食材」なんて記事も載っていますが、夏バテでしんどいときに料理なんか作っていられません。
そんなとき、頼りになるのがコンビニです。きちんと栄養をとらないと、熱中症にかかりやすくなるし、免疫力が下がってウイルスに感染しやすくなります。
1日に摂るべきカロリー量と栄養素は
ます、どれくらいのエネルギーを摂らなければならないか、おさらいをしておきましょう。
成人女性では1日に1,600~2,000kcal、成人男性では2,000~2,400kcalのエネルギーが必要だといわれています。
一日の活動量にもよりますが、だいたいこれくらいのエネルギーを取っておくことを強くお勧めします。夏に食欲が落ちたついでに、ダイエットしようなんてことは、絶対に考えないでください。
からだが弱ると熱中症にかかりやすくなるだけでなく、免疫力が下がり、ウイルスにも感染しやすくなります。体力が落ちているときにウイルスに感染すると、ウイルスとの戦いに負けてしまい、感染の症状が長引くことになります。
ところで、上に書いたエネルギーが足りていたらよいかというと、そうではありません。覚えておいて欲しいポイントがふたつあります。
- たんぱく質、脂質が十分に摂れていること。
- ビタミン、ミネラルが十分に摂れていること。
夏は食欲が落ちるので、どうしても冷たいめん類やアイスクリームに手が伸びてしまいます。また暑いと食材を買いに行くのも、料理を作るのも面倒になり、すぐに食べられるパンや、調理の手間がかからないインスタント食品になりがちです。
そうすると、炭水化物主体の食事になり、ビタミンやミネラルが不足します。特に炭水化物をエネルギーに変えるときに必要なビタミンB1が不足すると、疲労の回復に時間がかかるようになります。どのような成分を摂ればよいかは、最後に説明します。まずは、コンビニで何を買えばよいか、ランキング形式で紹介します。
夏バテに効く、おすすめのコンビニご飯とドリンク
第1位 中華丼(チルド)
ポイント
- 豚肉と野菜がたっぷり
- のどを通りやすい
- たんぱく質、ビタミンB1が摂れる
食欲がないと、ごはんやパンがのどを通りません。そのため、ついついめん類に手が伸びてしまいがちです。見た目も涼しそうで、食べられそうな気がします。でもめん類はほとんどが炭水化物なので、夏バテが目前に迫っているときは、避けたほうが無難です。
そこでオススメなのが中華丼です。弁当のコーナーではなく、チルド(冷蔵)コーナーにあります。
まず何がよいかというと、ごはんに汁がかかっているので、食べやすいことです。弁当のごはんだと、パサパサしてのどを通らないときでも、わりと楽に食べることができます。
そして何より具材の多さです。豚肉、えびと野菜がたっぷり入っています。豚肉はビタミンB1とナイアシンが豊富です。ビタミンB1は疲労回復に効果があり、ナイアシンもエネルギーを作り出すのに関わっています。また豚肉にはたんぱく質と脂質が含まれます。とくに豚肉のたんぱく質は消化・吸収されやすいので、意識的に摂るようにしましょう。
そして中華丼にはいろんな種類の野菜がたくさん入っています。1食で半日分の野菜が摂れることを売りにしている商品もあります。1食400~500円と少し高めですが、お勧めします。
価格:497円(税込)
熱量:525kcal、たんぱく質:12.7g、脂質:11.1g、炭水化物:99.0g(糖質:88.1g、食物繊維:10.9g)、食塩相当量:3.3g
第2位 親子丼(チルド)
ポイント
- 鶏肉とたまごで栄養豊富
- のどを通りやすい
- ビタミン、ミネラルがバランスよく摂れる
親子丼もごはんにたまごとたれがかかっているため、ごはんが軟らかくなっており、喉を通りやすくなっています。
親子丼に入っている鶏肉とたまごは、消化・吸収のよい良質なたんぱく源です。また鶏肉にはイミダゾールジペプチドという疲労予防、疲労回復に効果があるという成分が含まれています。
さらにたまごにはビタミンA、E、D、Kといった脂溶性ビタミンだけでなく、ビタミンB1、B2といった水溶性ビタミンも含まれています。野菜が少ないのが気がかりですが、鶏肉と卵のおかげで、ビタミン、ミネラルがバランスよく入っています。こちらは1食あたり350~450円です。
価格:430円(税込)
熱量:536kcal、たんぱく質:23.5g、脂質:12.6g、炭水化物:84.7g(糖質:79.4g、食物繊維:5.3g)、食塩相当量:2.9g
第3位 冷やし中華
ポイント
- ハム、玉子焼き、野菜が入っている
- 冷たいめんはのどを通りやすい
- 冷たいめんの中では一番おすすめ
冷たいめんはよくないといっておきながら、もう方針変更してしまいました。ご飯ものがのどを通らない場合は、やはり冷たいめんでしょう。ただ、ざるそばのように、めんとたれだけの商品ではなく、できるだけいろいろな種類の具材が使われている冷やし中華がおすすめです。
コンビニによって違いますが、ハム、たまご、きゅうりはどれにも入っていると思います。生のキュウリが食べられるのは、なかなか貴重です。ハムとたまごにはたんぱく質、脂質、ビタミンがそこそこ含まれているので、栄養バランスはまあまあでしょうか。
価格:497円(税込)
熱量:566kcal、たんぱく質:22.0g、脂質:11.2g、炭水化物:96.7g(糖質:92.1g、食物繊維:4.6g)、食塩相当量:4.8g
第4位 チキン唐揚げ+野菜ジュース
ポイント
- チキンはたんぱく質と脂質が豊富
- ビタミンとミネラルを野菜ジュースで補充
食欲がないけど、いつも食べているファストフードなら食べられるという場合、ハンバーガーではなくチキンをお勧めします。理由は簡単。たんぱく質と脂質が多いからです。
また鶏肉にはさきほど紹介したイミダゾールジペプチドや、ビタミンB1、B2、Eと鉄分が豊富に含まれています。とくに疲労回復に効果があるビタミンB1は、豚肉と比べると量は少ないですが、きちんと含まれています。
チキンはコンビニだと、レジ横で売っています。いろいろな種類のものがありますが、むね肉のものよりもも肉のものを選んでください。サラダチキンもありますが、これはダイエットしたい人が食べるもので、エネルギーを摂りたい人には向いていません。
チキンを買うときには、忘れず野菜ジュースも買ってください。これは好き嫌いがあるかもしれませんが、生野菜をたべる機会が少ない人は、ぜひ飲むことをお勧めします。1日分の野菜が摂れるとうたっている商品や、鉄分が不足しがちな女性のために、鉄分を添加した商品もありますので、好みで選んでください。
チキンにあまり含まれていないビタミンA、C、Kとミネラル、食物繊維を効率よく補給することができます。ただ果汁と野菜汁を50%ずつにしたものはだめです。これなら、トマトジュースの方がまだマシです。
価格:203円(税込)
熱量:197kcal、たんぱく質:13.8g、脂質:11.1g、炭水化物:10.7g(糖質:10.3g、食物繊維:0.4g)、食塩相当量:1.5g
カゴメ野菜一日これ一本
価格:108円(税込)
熱量:68kcal、 たんぱく質:2.4g、 脂質:0g、 炭水化物:15.7g、 ナトリウム:0~220mg、 糖質:13.7g、糖類:11.4g、食物繊維:1.1~2.9g、食塩相当量:0~0.6g、亜鉛:0.3mg、カリウム:700mg、カルシウム:39mg、鉄:0~2.5mg、マグネシウム:33mg、ビタミンA:270~1400μg、ビタミンE:2.7mg、ビタミンK:11μg、葉酸:10~83μg、リコピン:16mg、β-カロテン:2900~13000μg、ポリフェノール:110mg
第5位 アイスクリーム + リポビタンD + 野菜ジュース
ポイント
- アイスクリームはたんぱく質と脂質が意外と多い
- ビタミンとミネラルを野菜ジュースで補充
夏バテでも、何ものどを通らないという人でも、アイスクリームは食べられるでしょう。エネルギーの補給にもなるので、ぜひ食べてください。
アイスクリームのパッケージを見ると、「アイスミルク」とか「ラクトアイス」と書かれているものがあります。これはどういう意味でしょうか。一般的にアイスクリームと呼ばれているものは4種類あり、乳固形分と乳脂肪分の量で、分類されています。
・アイスミルク 乳固形分10%以上、かつ乳脂肪分3%以上
・ラクトアイス 乳固形分3%以上
・氷菓 上記以外
たんぱく質、脂質を多く含むのは「アイスクリーム」です。食事の代わりに食べるのなら、断然アイスクリームです。
アイスクリームには、ビタミン、ミネラル、食物繊維があまり含まれていません。もし選べるのであれば、フルーツやナッツが入っているものがよいでしょう。不足する分は、さきほどと同様、野菜ジュースで補ってください。
価格:319円(税込)
熱量:234 kcal、たんぱく質: 4.5g、脂質:14.1g 、炭水化物:22.2g、食塩相当量: 0.1g
カゴメ野菜一日これ一本
価格:108円(税込)
熱量:68kcal、 たんぱく質:2.4g、 脂質:0g、 炭水化物:15.7g、、食物繊維:1.1~2.9g、食塩相当量:0~0.6g
夏バテを解消する栄養成分とその科学的根拠
ここではおすすめのコンビニ飯のところで紹介した、夏バテに効果がある栄養成分について説明します。
ビタミンB1
夏バテの一番の原因はエネルギー不足です。人間の主のエネルギー源は炭水化物(糖質)だというのはご存じだと思いますが、炭水化物をエネルギーに変えるとき、ビタミンB1が必要なんです。
みなさんTCA回路というのをご存じですか。グルコースが分解され、エネルギーに変わる際に通るルートです。ビタミンB1がないと、このTCA回路が動きません。TCA回路が動かないと、エネルギーは作れません。
ビタミンB1の摂取基準(推奨量)を日本人の食事摂取基準(2020 年版)で見ていきましょう。ちなみに推奨量とは、97.5%の人が必要量を満たす量のことです(以下、同じ)。
ビタミンB1の1日摂取推奨量 18~49歳 女性1.1mg/日、男性1.4mg/日
豚肉100gにはビタミンB1が1mg含まれていますが、鶏肉では0.1mgと1/10程度になります。ちなみにドリンク剤「リポビタンD」には1本あたり5mgのビタミンB1が含まれています。
ナイアシン
ニコチン酸とニコチンアミドを合わせてナイアシンといいます。過去にはビタミンB3と呼ばれていたこともありました。
糖質、脂質、タンパク質の代謝やエネルギー産生、ホルモンの合成など、からだのなかで起こるさまざまな化学反応に関わっているビタミンです。ナイアシンは不足すると、食欲がなくなり、消化不良や皮膚の発疹が起こることがあります。
ナイアシンの1日摂取推奨量 18~29歳 女性11mg/日、男性15mg/日 30~49歳 女性10mg/日、男性15mg/日
鶏肉100gにはナイアシンは10mg、豚肉100gには5mg含まれます。
イミダゾールジペプチド
鶏のむね肉やマグロの尾びれなど、常に運動してエネルギーを作り出さなければならない部分に多く含まれる物質で、たんぱく質とアミノ酸の中間の大きさの物質です。疲労予防効果、疲労回復効果があるといわれており、サプリメントも発売されています。
ビタミンB2
脂質、タンパク質の代謝とエネルギー産生や、赤血球の形成、抗体の生産に必要なビタミンです。ビタミンB2は体内に蓄積できないため、毎日の食事から摂る必要があります。ビタミンB2が不足すると、口内炎ができます。
ビタミンB2の1日摂取推奨量 18~49歳 女性1.2mg/日、男性1.6mg/日
たまごに1個に0.2mg、レバー100gに3mg、納豆1食分に0.3mg含まれます。
まとめ
- 成人女性では1日に1,600~2,000kcal、成人男性では2,000~2,400kcalのエネルギーが必要。エネルギーだけでなく、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラルが摂れているかどうかもポイント。
- 夏バテに効果がある食材はいろいろあるが、材料をそろえて調理をする手間がかかる。コンビニで買ってすぐに食べられるものの中から、夏バテに効果があるメニューを紹介。
- たんぱく質と脂質を十分に摂るとともに、ビタミンB1、B2、ナイアシンを意識的に摂るように心がける。