小麦、トウモロコシ、米など、穀物のことを、英語でシリアル(Cereal)といいます。生のままでは食べられないシリアルを、粉砕・成形・加熱して食べやすくしたのが、シリアル食品で、日本でシリアルと呼ばれているのは、シリアル食品です。最近ブームになっているシリアル食品の、原料、製造方法、食べ方、栄養価を比較してみました。
シリアル食品の原料と製造方法
グラノーラ
グラノーラの原料は、
- オーツ麦(エンバク)、大麦、玄米、トウモロコシ
- ナッツ、ココナッツ、ドライフルーツ
- 砂糖、はちみつ、メープルシロップ
です。
グラノーラの特徴は、オーツ麦(エンバク)を使っているところです。
オーツ麦というのは、日本ではあまりなじみがありません。それもそのはず、日本でも栽培されていますが、穀物を取るために栽培されているのはごく一部で、大部分は葉や茎も含めて、家畜のえさとして利用されています。
エンバク、オートムギとも呼ばれるオーツ麦。 日本ではあまりなじみがありませんが、オートミール、グラノーラとして食べられるようになりました。 水溶性食物繊維であるβ-グルカンを多く含むことから注目されていますが、栄養成分は他の全粒[…]
オーツ麦を使っているのは、グラノーラが最初に発明されたときから、オーツ麦が使われていたこともありますが、穀物の中でも炭水化物が少なく、健康食品として人気があるためではないかと思います。100 g あたりのエネルギーや栄養成分を比較してみましょう。オーツ麦はたんぱく質と脂質が多く、炭水化物が少ないのがわかります。
エネルギー | 水分 | たんぱく質 | 脂質 | 炭水化物 | 備考 | |
---|---|---|---|---|---|---|
オーツ麦 | 350 kcal | 10.0 g | 13.7 g | 5.7 g | 69.1 g | オートミール |
大麦 | 329 kcal | 12.7 g | 6.7 g | 1.5 g | 78.3 g | 押麦/乾 |
玄米 | 346 kcal | 14.9 g | 6.8 g | 2.7 g | 74.3 g | 乾 |
トウモロコシ | 380 kcal | 4.5 g | 7.8 g | 1.7 g | 83.6 g | コーンフレーク |
オーツ麦を加熱してローラーをかけると、フレーク状になりますが、これをロールドオーツといいます。
グラノーラは、ロールドオーツ、大麦、玄米、トウモロコシに、ナッツ、ココナッツ、ドライフルーツ、砂糖などの糖類、植物油を混ぜて、かき混ぜながら、オーブンで焼いたものです。
ミューズリー
ミューズリーの原料は、
- オーツ麦(エンバク)
- ナッツ、ドライフルーツ
です。
ミューズリーの原料も、グラノーラと同じオーツ麦を加熱してローラーをかけたロールドオーツで、ナッツやドライフルーツが入っている点も同じですが、ミューズリーはロールドオーツにナッツとドライフルーツを混ぜただけで、焼いていません。なお砂糖、はちみつ、メープルシロップで味付けしたものもあります。
オートミール
オートミールの原料も、
- オーツ麦(エンバク)
ですが、生のオーツ麦を押しつぶす、または切断するなどして、食べやすくしただけで、味付けはされていません。
コーンフレーク
トウモロコシの胚乳から作られる粉は、粉の細かい順に、コーンスターチ < コーンフラワー < コーンミール < コーングリッツと呼ばれます。
粉径 | 使われている部分 | 主な用途 | |||
胚乳 | 胚芽 | 種皮 | |||
細かい
粗い |
コーンスターチ | ○ | × | × | 揚げ物の衣、とろみ付け |
コーンフラワー | ○ | × | × | 揚げ物の衣、トルティーヤ | |
コーンミール | ○ | × | × | コーンフレークの原料 | |
コーングリッツ | ○ | × | × | パン粉の代替、コーンフレークの原料 |
コーンミールやコーングリッツに水を加えて練り、加熱してから押しつぶして、長さ 10 mmくらいの薄い破片にしたものが、コーンフレークです。
ブラン
ブランとは、小麦の種皮(小麦ふすま)のことで、お米でいうと、ぬかの部分にあたります。この小麦ふすまをシリアル食品にしたものが、「オールブラン」という名前で発売されています。
原材料は、
- 小麦ふすま(小麦ブラン)
ですが、商品によっては、
- 精米、全粒小麦、糖類
を加えているものもあります。
製造方法は公開されていませんが、コーンフレークと同様の製造方法ではないかと推測されます。
味と食べ方 そのまま食べられるのはどれ?
グラノーラ:そのまま食べられる
グラノーラは砂糖やはちみつで味をつけて焼いてあるので、そのまま食べることができます。そのためフレーク状のもの以外に、棒状に固めたグラノーラバーも持ち運びに便利な携帯食として売られています。もちろん、牛乳や豆乳をかけて食べることもできます。
ミューズリー:牛乳でふやかして食べる
これに対し、ミューズリーの主成分のロールドオーツは、加熱してローラーにかけたもので、焼いていないため、そのままで食べることはありません。一般的には牛乳やヨーグルトをかけて、ミューズリーをふやかして食べます。また味付けがしていないミューズリーが多いので、食べるときに砂糖やはちみつを加えることも多いです。
オートミール:水分を加えて加熱する
オートミールはそのままでは食べられません。水、牛乳、豆乳、スープなどと一緒に煮て、粥状にしてから食べます。短時間煮るだけで食べられるので、欧米では朝食によく使われます。また味が付いていないので、必要に応じて砂糖、塩、コンソメなどを加える必要があります。
コーンフレーク:そのまま食べられる
水で練ったトウモロコシの粉を焼いて、フレーク状にしたものなので、コーンフレークはそのまま食べることができます。また牛乳や豆乳をかけて食べることもできます。
コーンフレークは商品によって、味付けされていないもの(プレーンと呼ばれます)と砂糖、はちみつ、チョコレートなどで味付けしたものがあるので、目的や食べる人の好みにあわせて選ぶことができます。
ブラン:そのまま食べられるが・・・
ブランもコーンフレークと同様、そのまま食べることができますが、通常は廃棄される小麦の表皮の部分が使われているため、口当たりがよくありません。牛乳や豆乳をかけて食べるのが一般的です。こちらは糖類で味を付けたものがほとんどです。
栄養成分とダイエット効果
グラノーラ:高カロリー食
グラノーラは低糖質のロールドオーツを主原料にしていますが、ドライフルーツ、ナッツ、砂糖、はちみつなどを加えてあるので、高カロリーです。また焼いてあるため、ドライフルーツやナッツに含まれるビタミン類が分解しています。そこでメーカー各社は、わざわざ製品にビタミンやミネラルを添加し、栄養価が高いことをウリにして販売しています。
またオーツ麦は全粒穀物であるため、糖質の吸収がおだやかで、血糖値を急激に上昇させることがありません。そのためメーカーは健康的な食品として売り出していますが、カロリーが高いので、食べ過ぎないように注意する必要があります
ミューズリー:健康食
ミューズリーは低糖質のロールドオーツを主原料とし、またドライフルーツやナッツを加熱せずに使っているため、低糖質でビタミン、ミネラルが豊富な健康食品です。また全粒穀物であるロールドオーツは、糖質の吸収がおだやかで、血糖値を急激に上昇させることがありません。食べ過ぎなければ、必要な栄養成分を摂りつつ、ダイエット効果があると考えられます。
オートミール:健康食
全粒穀物のオーツ麦は、他の穀物より血糖値の上昇が緩やかで、ビタミン、ミネラルを豊富に含むことから、食べ過ぎなければダイエット効果が得られると考えられます。
コーンフレーク:糖質の塊
トウモロコシのでんぷんと糖質が原料なので、本来、栄養成分は炭水化物だけなのですが、グラノーラと同様、ビタミン、ミネラルを添加物として加えています。食品として栄養価が高いとはいえません。
ブラン:食物繊維とミネラルが豊富
小麦の種皮(小麦ふすま)を主原料にしているため、食物繊維とミネラルが豊富です。さらに健康によいことをアピールするため、ビタミン、ミネラルや食物繊維を添加しているものもあります。ただ100 g あたりのエネルギーはコーンフレークと大差ないので、低カロリー食品とはいえません。
まとめ
- グラノーラはオーツ麦(エンバク)の押麦に大麦、玄米、ナッツ、ドライフルーツ、砂糖などを加えて焼いたもので、フレーク状や棒状になっている。そのまま食べることができる。
- ミューズリーはオーツ麦(エンバク)の押麦にナッツ、ドライフルーツなどを加えたもので、焼いていないため、牛乳やヨーグルトをかけてふやかして食べる。
- オートミールは生のオーツ麦(エンバク)を押しつぶしたもので、牛乳や水と一緒に煮て粥状にして食べる。
- コーンフレークは水でこねたトウモロコシ粉を加熱してフレーク状にしたものでそのまま食べられる。ビタミンやミネラルが添加されているものが多い。
- ブランは小麦の種皮(小麦ふすま)を加熱してフレーク状にしたもので、食物繊維やミネラルが豊富。ただコーンフレークと比べてカロリーが低いわけではない。