グミキャンデーは砂糖、でんぷん、香料、着色料などをゼラチンで固めたもので、硬いものから軟らかいものまであります。
ゼラチンを使っているのでたんぱく質が多く含まれますが、巷でいわれるような美肌効果もダイエット効果もありません。
ゼリービーンズの主成分は糖類と寒天、ラムネは糖類で、いずれも糖類の塊です。食べ過ぎると血糖値が上がるので、生活習慣病の原因になります。適度に食べる限り、何の問題もありません。
グミはなぜおいしい?原材料は
グミキャンデーは、砂糖、水あめ、でんぷん、香料、着色料をゼラチンで固めたもので、ハリボー(HARIBO)という名前のドイツ生まれの固いグミから、果汁感の強い日本のやわらかいグミまで、いろんな商品があります。店頭で量り売りしている色とりどりのものも、グミキャンデーです。
ところでゼリーは砂糖を加えた果汁などにゼラチンを加えて固めたものなので、グミキャンデーとゼリーの原料はほぼ同じです。
違いはゼラチンの量と水分の量で、100gあたりの量を比較すると、
グミキャンディー ゼラチン7.2g 水分17.9g
ゼリー ゼラチン2.4g 水分77.4g
となります。もちろんグミキャンデーもゼリーも、固いものと軟らかいものがあるので、この数字はあくまで一例にすぎません。
日本でよく売れているグミキャンディーの原材料と栄養成分表示を調べてみました。
明治の「果汁グミぶどう」のパッケージを見ると、
/酸味料、ゲル化剤(ペクチン)、香料、光沢剤、(一部にりんご・ゼラチンを含む)
栄養成分表示(100gあたり):エネルギー327kcal、たんぱく質6.3g、脂質0g、炭水化物75.7g、食塩相当量0.06g
と書かれています。
グミキャンデーの栄養成分から見た特徴は次の通りです。
- カロリーは100gで330kcal(ごはん1.1膳分)。
- 成分は炭水化物とたんぱく質が含まれる。
- たんぱく質は全てゼラチン由来。
・ペクチン … 植物から抽出された多糖類で、ゲル化材として使われています。人間では消化・吸収されにくい成分が、使われている量が少ないので、問題にはならないと思われます。
グミは健康にいい?それとも太る?
少なくとも積極的に食べる理由はありません。食べ過ぎると、間違いなく害があります。
美肌効果はない
グミキャンデーに美肌効果があると書いてある記事がありますが、単なるこじつけです。
グミキャンデーに含まれるゼラチンは、コラーゲンから作られます。コラーゲンは皮膚を構成するたんぱく質の成分なので、美肌効果をうたったコラーゲン配合のサプリメントが出回っています。
口から入ったコラーゲンは胃と腸でアミノ酸やペプチドに分解されてから吸収されます。コラーゲンのまま吸収されるわけではありません。
そのためコラーゲンを摂っても体内のコラーゲンが増えるわけではないといわれています。コラーゲンに美肌効果があるどうか怪しいということは、ゼラチンも同様ということです。
ダイエット効果はない
硬いグミキャンデーを噛むことで、満腹中枢が刺激されてダイエット効果があるということをいっている人がいますが、グミキャンデーがすべて硬いわけではなく、特に日本で売られているものは軟らかいものが主流です。
仮に満腹中枢を刺激するとしても、余分なカロリーを摂ることになるので、グミキャンデーにダイエット効果を期待するなど、ナンセンスです。
消化は悪くなく下痢もしない
ゼラチンは小麦や大豆に含まれるたんぱく質と比べると、消化・吸収がよいといわれています。
グミキャンデーに消化が悪い成分、例えば食物繊維などが大量に含まれていれば別ですが、ふつうに食べても、お腹が緩くなったり下痢をしたりすることはありません。
食べ過ぎには注意しましょう
グミキャンデーには糖分がたくさん含まれています。商品にもよりますが、100gでごはん1.1膳分のカロリーがあります。食べ過ぎないようにしましょう。
たくさん食べたら肥満になったり、虫歯の原因になったりするのは、どんなお菓子でも同じです。
ゼラチンはアレルゲンになる
たまにグミキャンデーを食べるのは何の問題もありませんが、何らかの健康増進効果を期待して、グミキャンデーを習慣的に食べることはお勧めできません。
ゼラチンは食物アレルギーの原因になるたんぱく質です。食物アレルギーが発症するメカニズムはよくわかっていませんが、体の中に入ったアレルゲンの量に発症に影響することは、ほぼ間違いないと考えられています。
たまにゼラチンを食べるのはよいと思いますが、大量のゼラチンを毎日摂り続けることは、止めた方がよいと思います。
ゼリービーンズはグミと違ってあまり売ってない
ゼリービーンズは、砂糖、水あめに寒天を加えて作ったゼリーを、コーンスターチを厚く敷いた型に入れて豆型にしたのち、乾燥、コーティングしたものです。グミよりは軟らかく、噛めば簡単に壊れます。
無印良品にありましたので、ゼリービーンズの原材料と栄養成分表示をご紹介します。
/香料、着色料(アカビート、紅花黄、アナトー、クチナシ、カロチン)、プルラン、光沢剤、(一部に乳成分を含む)
栄養成分表示(100gあたり):エネルギー371kcal、たんぱく質0g、脂質0g、炭水化物92.5g、食塩相当量0g
良品計画が販売していますが、大手菓子メーカーの春日井製菓が製造しています。春日井製菓も自主ブランドで「ゼリーピンズ」(ビーンズではなくピンズ)を出していますが、ウェブサイトには原材料、栄養成分は掲載されていません。
一方、文部科学省が作成している日本食品標準成分表2020年版(八訂)には、ゼリービーンズの栄養成分が掲載されていますので、参考までに載せておきます。無印良品のゼリービーンズとほとんど同じです。
ゼリービーンズの栄養成分から見た特徴は次の通りです。
- カロリーは100gで360~370kcal(ごはん1.2膳分)。
- 成分は炭水化物だけ。たんぱく質、脂質、食塩はゼロ。
- ゼリーという名前だが、ゼラチン(動物由来)は使われていない。
・ブルラン … 微生物がつくる多糖類で、製造用材として使われています。人間では消化・吸収されにくい成分です。使われている量が少ないので、問題にはならないと思われます。
ゼリービーンズを習慣的に食べたら太る
ゼリービーンズが体によいといっている人はさすがにいません。
でもゼリービーンズで使われている寒天はノンカロリーであることをことさら強調している記事があります。寒天は海藻から採った特殊な糖類で、人間は消化・吸収することができないのは事実ですが、寒天を寒天だけで(何の味もつけずに)食べることはありません。
他の成分にはカロリーがあるので、寒天を使った製品がすべて低カロリーというわけではありません。
ところで、さきほど説明したように、ゼリービーンズはほぼ全量が炭水化物からできており、そのほとんどは糖質です。ゼリービーンズを摂ると、糖質がすぐに吸収され、血糖値が上昇します。するとこれを下げるためにインスリンというホルモンが分泌され、血液中のグルコースが細胞内に蓄えられます。これが繰り返されると、肥満や生活習慣病の原因になります。
ゼリービーンズをたまに少量食べるのなら、何の問題もありませんが、もし日常的に食べる習慣があるのであれば、ゼリービーンズで摂取する分の糖類を、別の食べものから減らす必要があります。
ラムネ菓子の原材料はブドウ糖
ラムネ菓子は砂糖、ブドウ糖、でんぷんに酸味料としてクエン酸を加え、タブレット状に固めたものです。
森永製菓が出しているラムネ飲料の形をした容器に入っている「森永ラムネ」の原材料と栄養成分は次の通りです。
/酸味料、乳化剤、香料、アカキャベツ色素、(一部に乳成分・ゼラチンを含む)
栄養成分表示(100gあたり):エネルギー372kcal、たんぱく質0g、脂質1.2g、炭水化物 90.3g、食塩相当量0g
ぶどう糖とでんぷんが主成分で、特に体に悪影響を与えるようなものは含まれていません。
ラムネ菓子で集中力アップの効果はある?
いまから10年ほど前、ラムネ菓子(主に森永ラムネ)が脳を活性化するとか、二日酔い対策になるという情報が出回ったことがあります。これは森永ラムネに原材料としてぶどう糖が使われていることによるものです。
ぶどう糖(グルコース)は人間の体内でエネルギー源として使われますが、脳も同じで、脳が働くためにはグルコースが必要です。
血液中のグルコース濃度が下がる(=低血糖になる)と、集中力が低下したり、眠気やめまいが起きることがあります。ただふだんの生活で低血糖になることはないので、ラムネ菓子が脳を活性化するということもありません。
ラムネ菓子も、先ほど説明したゼリービーンズと同様、その成分のほとんどは糖質です。食べ過ぎると肥満や生活習慣病になる可能性があるので、注意しましょう。
まとめ
- グミキャンデーは砂糖、でんぷん、香料、着色料などをゼラチンで固めたもので、硬いものから軟らかいものまである。またゼリーはグミキャンデーとほぼ同じ原料でできており、違いは水分とゼラチンの量である。
- グミキャンデーを積極的に食べる理由はない。巷でいわれるような美肌効果もダイエット効果もない。一方でゼラチンは小麦や大豆に含まれるたんぱく質と比べると、消化・吸収がよいため、お腹が緩くなったり下痢をしたりすることはない。
- ゼラチンは食物アレルギーの原因になるたんぱく質なので、大量のゼラチンを毎日摂り続けることは、止めた方がよい。
- ゼリービーンズは、砂糖、水あめに寒天を加えて作ったゼリーを、コーンスターチを厚く敷いた型に入れて豆型にしたのち、乾燥、コーティングしたもので、糖類の塊。食べ過ぎに注意が必要。
- ラムネ菓子は砂糖、ブドウ糖、でんぷんに酸味料としてクエン酸を加え、タブレット状に固めたもので、これも糖類の塊。
- ラムネ菓子が脳を活性化するとか、二日酔い対策になるというのは、ぶどう糖が含まれるためと思われる。ふだんの生活で低血糖になることはないので、ラムネ菓子が脳を活性化するということもない。