カラーパウダーとは?食用、イベント用の種類と原料、使い方、安全性

色の付いた粉をまとめてカラーパウダーと呼びます。

カラーパウダーにはヘアカラー用、スカルプ用、メイク用、ネイル用といった美容・パーソナルケア目的で使うもの、セメントに混ぜて使うもの、カラーイベントといわれる屋外で開催されるイベントで使われるもの、食品の着色に使われるものなと、さまざまな種類があります。

ここでは、食用とイベント用のカラーパウダーについて、説明します。

食用のカラーパウダーは着色用の植物の粉

食品に色を付けるときに使われるのが、食用のカラーパウダーです。

着色料は化学合成された合成色素(合成着色料)と、植物、動物など自然界に存在する生き物から取り出した天然色素に分けられます。

このうち色素を含む植物を濃縮する過程で乾燥・粉砕して、粉状にしたものがカラーパウダーと呼ばれています。カラーパウダーは食品添加物として扱われる場合と、食品として扱われる場合があります

市販されているカラーパウダーを例に、原料と用途について見ていきましょう。

ナチュラルカラーパウダー

シーアンドエー株式会社が販売している粉末食用色素です。原料は植物原料のみの天然着色料とのことで、食品添加物として扱われます。赤、紫、橙、青、黄、緑の6色があり、いずれも水溶性です。油脂の多い食品に混ぜる場合は、乳化剤などを使う必要があります。また緑以外は外国産です。


  • 紅麹米が原料です。紅麹米という種類のお米があるのではなく、ベニコウジカビでお米を発酵させてできた赤い色素です。アオカビが青い色素を作るように、ベニコウジカビは鮮やかな赤色の色素を作ります。沖縄の伝統的な食べ物に、島豆腐をベニコウジカビで発酵させた「豆腐よう」というのがあります。豆腐ようは赤色をしていますが、これがベニコウジカビの色なのです。アジアで長年にわたって食用とされてきたものなので、安全といわれています。

  • ビーツ(ビートともいう)が原料です。ビーツはロシアの家庭料理ボルシチに使われる野菜で、根の部分が紫色をしています。なおてん菜糖の原料となるサトウダイコンもビーツの仲間です。

  • ベータカロテンが原料です。ベータカロチン(ベータカロテンともいいます)はにんじんなどに含まれるオレンジ色の色素で、プロビタミンAとも呼ばれています。小腸で吸収されるときにビタミンAに変わるので、ビタミンAの仲間として分類されます。なお原料はにんじんではなく、あくまでベータカロチンという点がやや気にかかります。

  • バタフライピー(チョウマメ)という植物の花が原料です。青い花の色素を抽出したものです。

  • かぼちゃが原料です。

  • 国産の抹茶が原料です。

SOSA社 カラーパウダー

スペインに本社があるSOSA社が製造し、日本のサンエイト貿易株式会社が輸入・販売している粉末食用色素です。SOSA社のカタログによると、果汁と野菜ジュースから抽出した自然な色を濃縮したもので、抽出、蒸発、ろ過だけで作っているとのことです。またこれらは食品成分とみなされ、添加物ではないため、使用量の制限はないそうです。

この商品の特徴は、一部は油性の食品にそのまま混ぜて使うことができるということです。そのため、溶かしたホワイトチョコレートに混ぜることで、さまざまな色のチョコレートを作ることができます。個別の色素の原材料についてはわかりませんでした。

  • レッド:水性・油性両用
  • ピンク:水性・油性両用
  • ビーツレッド:水性
  • チェリーレッド:水性
  • パープル:水性・油性両用
  • ブルー:水性・油性両用
  • グリーン:水性・油性両用
  • イエロー:水性・油性両用
  • オレンジ:水性

三笠食品 野菜ファインパウダー

国産の野菜を乾燥・微粉砕し、パウダー状にしたものです。水に溶けやすくするための添加物(デキストリン等)は一切使用していません。食品として扱われます。野菜本来の鮮やかな色が残っているため着色もできますが、野菜の摂取量を増やす目的でも使える商品です。

  • 緑:ほうれん草を乾燥・微粉砕した粉末です。
  • オレンジ:にんじんを乾燥・微粉砕した粉末です。
  • 茶:ごぼうを乾燥・微粉砕した粉末です。
  • 黄:かぼちゃを乾燥・微粉砕した粉末です。
  • 紫:紫芋を乾燥・微粉砕した粉末です。

食用のカラーパウダーの使い方と安全性

代表的な食用のカラーパウダーを3つ紹介しましたが、商品の内容がだいぶ違います。ここでは用途と安全性という観点から、どの商品がよいか、説明します。

油分の多い食品に使う場合はSOSA社の水性・油性両用

水溶性の食用のカラーパウダーは水には均一に溶けますが、油には均一に溶けません。そのため油脂分が多いチョコレートを着色する場合は、油性の着色料を使う必要があります。

カラーパウダーの多くは水溶性なのですが、SOSA社の一部の商品は、水性・油性両用となっています。なお合成色素の場合も同様で、水性ではなく油性の色素を使う必要があります。

着色プラス野菜成分も加えたい場合は三笠食品の野菜ファインパウダー

この商品は国産野菜を洗浄・乾燥・微粉砕しただけのもので、野菜の成分がそのまま残っています。着色という目的に野菜成分も加えたい場合は、こちらの商品がおすすめです。

ただ天然の野菜のみを使用しているため、発色性は他の商品に比べて劣るかもしれませんが、これが自然な色と考えれば、納得できるでしょう。

着色だけが目的ならSOSA社の製品は汎用性が高い

着色だけが目的なら、使用実績が多く、発色性がよいSOSA社の製品がおすすめです。食品に対する安全基準が厳しいヨーロッパで広く使われているという点も、評価できます。

一方、ナチュラルカラーパウダーはそれぞれの色の原料はわかりますが、それ以外の成分が入っいるのか入ってないのかも不明です。食品添加物なので表示の義務はないのかもしれませんが、使う側としては何が使わているのか、知りたいところです。ちなみに赤、紫、橙、黄は中国製、青はタイ製です。

使用量が少ないので健康には影響ない

カラーパウダーは食品に着色する目的で少量使用するものなので、どれを使っても健康に悪影響を与えることはありません。ただ心配なら、国産野菜をそのまま微粉砕した三笠食品の野菜ファインパウダーが安心だと思います。

なお合成色素は危険で、天然色素は安全、と思われている方も多いでしょうが、かならずしもそうとは限りません

自然の植物や動物由来のものであっても、体に悪影響を与えるものはたくさんあります。一番よいのは、食用色素を使わないことです。

イベント用のカラーパウダーはコーンスターチで、爆発する?

屋外で着色された粉末を浴びながら走るというカラーイベントが行われるようになりました。また屋外で行われるコンサートで、演出用に着色された粉末を噴霧することも、行われていました(現在は行われていません)。

この際に使われるカラーパウダーは、トウモロコシのでんぷんであるコーンスターチを食用色素で着色したものです。コーンスターチは料理のとろみ付けに使われるほか、さまざまな加工食品に入っています、また色素も食用色素を使っているため、カラーパウダーは口や目に入っても、問題ありません。

カラーイベントは、インドのヒンズー教のお祭り、ホーリー祭りに由来するといわれています。春を迎えるお祭りであるホーリー祭では、色とりどりの粉や水を相手にかけて祝う風習があります。

ところで、2015年に屋外イベントで大事故が発生しました。台湾で開催されていて音楽イベントで演出のために噴霧されていたカラーパウダーで粉塵爆発が起き、多数の死傷者が出たのです。

粉塵爆発とは、空気中に漂った大量の可燃物に火がついて、一瞬のうちに燃えることです。コーンスターチは軽いため、空気中に噴霧されると、しばらく空中に漂っています。しかも燃えます。これに火が付くと瞬間的に燃え広がり、爆発します。台湾のケースは、タバコの火が原因といわれています。

粉塵爆発は、さまざまな粉で起こります。例えば小麦粉。パンを作っている途中で小麦粉を大量にこぼし、室内に小麦粉が充満した状態でガスコンロに火をつけると、爆発する危険があります。口に入っても大丈夫と安心してはいけません、粉は爆発する可能性があることを忘れないでください。

まとめ

  1. 食用のカラーパウダーは食品の着色に使われる植物の乾燥粉末です。食品として扱われる場合と、食品添加物として扱われる場合があります
  2. 食用のカラーパウダーには、水溶性のものと、水性・油性兼用のものがあります。油脂分の多い食品を着色する場合は、油性のものを使う必要があります。
  3. 食用のカラーパウダーは基本的に安全です。ただ商品によって原料が異なるので、気になる場合は国産野菜をそのまま乾燥・微粉砕したものが安心です。
  4. イベント用のカラーパウダーはコーンスターチを食用色素で着色したものです。口や目に入っても大丈夫ですが、粉塵爆発の危険性があります。