小麦粉、米粉、片栗粉の違いは? 穀物粉の特徴、用途、価格を徹底比較

小麦粉は小麦から、米粉はうるち米から、片栗粉はジャガイモから作られます。このうち、米粉は小麦粉を置き換える目的で、最近登場しました。うるち米から作られる粉としては、古くから上新粉がありますが、米粉と上新粉は性質が違います。いろんな穀物粉とその特徴、用途、価格について、詳しく見ていきましょう。

穀物粉の原料、特徴、用途、価格を徹底比較

あなたのおうちの台所には、どんな粉がありますか? 小麦粉と片栗粉は、料理でよく使われるので、どこの家にもあるのではないでしょうか。

一方で、上新粉や白玉粉は、和菓子やスイーツをつくる人でないと、用意していないかもしれません。さらにサツマイモ粉やタピオカ粉となると、ふつうの食品スーパーでは売っていないし、そもそも用途が限られます。

穀物やイモ類から作られる食用の粉を穀物粉といいます。日本で手に入る穀物粉の、原料、特徴、用途、価格を表にしました。思った以上にさまざまな種類の粉があることに驚きます。

なお、粉はパッケージの量によって値段が変わること、品質・等級によって価格差が大きいこと、特売の対象になることが多いこと、から、価格はあくまで参考です。

 

 

 

粉の名称 粉の原料 特徴(違い) 主な用途 価格
(円 / kg)
小麦粉 薄力粉 小麦 グルテンが少ない

グルテンが多い

洋菓子、天ぷら 220
中力粉 うどん 220
準強力粉 中華めん、パスタ 220
強力粉 パン、ピザ 220
米の粉 上新粉 うるち米 粒が粗い 和菓子 860
米粉 粒が細かい パン、料理、めん 860
白玉粉 もち米 粒が粗い 白玉団子、和菓子 1,600
もち粉 粒が細かい 和菓子(求肥) 1,600
だんご粉 うるち米/もち米 団子用ミックス粉 団子 1,080
片栗粉 じゃがいも 加熱で糊化する とろみ付け、揚げ物 480
コーンスターチ とうもろこし 加熱で糊化する 加工食品ほか 650
きな粉 大豆 焙煎して粉砕 和菓子 1,080
ハッタイ粉 大麦 焙煎して粉砕 和菓子 800
サツマイモ粉 さつまいも 乾燥して粉砕 製菓用 400
タピオカ粉 キャッサバ(イモ) 粉砕して精製 製菓用 500
こんにゃく粉 こんにゃくいも カロリーが低い こんにゃく 5,000
本葛粉 くずの根 生産量が少ない 葛餅、葛湯、葛切り 8,000
本わらび粉 ワラビの根 生産量が少ない わらび餅 13,800

 

 

さまざまな食品に使われる小麦粉! 薄力粉と強力粉の違いは?

小麦を粉砕して粉状にしたものが、小麦粉です。

小麦粉はわたしたちの食生活になくてはならないものになっています。パン、うどん、ラーメン、お好み焼き、ピザ、クッキーなど、小麦粉が原料となっている食品はたくさんありますし、揚げ物の衣やしょうゆにも小麦粉が使われています。このほか、小麦粉はとろみをつける、固めるなどの目的で、カレーやシチューのルー、インスタントスープなど、さまざまな加工食品にも入っています。

日本の小麦の消費量は年間 651 万トン(2018 年)で、国民 1人あたり年間 51 kg にもなります 1)

ただ小麦を小麦粉に製粉すると、歩留まりが 60 % くらいになりますので、国民1人あたり年間 31 kg の小麦粉を消費している計算になります。お米の消費量(飼料用を除く)が国民1人あたり 63 kg なので、それには及びませんが、小麦の消費量の多さには驚きですね。

スーパーで小麦粉は、薄力粉(はくりきこ)強力粉(きょうりきこ)という名前で売られています。薄力粉と強力粉の違いは、小麦粉に含まれるグルテンというたんぱく質の量の違いなのです。

グルテンは小麦粉に水を加えてこねることで作られる生地の中にできる糊状の物質で、小麦の生地に弾力を与え、ふっくらとおいしいパンや、コシの強いめんをつくるのに欠かせません。一方、グルテンを含まないほうがよい用途もあるため、小麦粉はグルテンの量によって分類し、用途に応じて使い分けることができるようになっているのです。

スーパーでよく見かけるのは、薄力粉です。小麦粉といえば、ふつうは薄力粉を指します。薄力粉は、天ぷらやフライなどの揚げ物に使われるほか、お好み焼き、たこ焼き、ケーキ、クッキーの材料として、よく使われます。

これに対して、グルテンを多く含む強力粉は、パン生地やピザ生地を作るのに適しています。パンやピザを自宅で作る人のために、販売しているものです。

ふつうのスーパーでは、薄力粉と強力粉しか見かけませんが、大きなスーパーへ行くと、中力粉準強力粉という小麦粉を見かけます。中力粉の用途はうどんや餃子の皮、準強力粉の用途はフランスパン、パスタ、中華めんだそうです。自宅でうどんやパスタ、中華めんを打つ人は多くないので、需要が少ないのでしょう。

小麦粉の分類と含まれるグルテンの量、用途などを表にまとめました。

 

 

 

薄力粉 中力粉 準強力粉 強力粉
グルテンの量(重量%) 7.0 ~ 8.5 9.0 ~ 10.5 9.0 ~ 11.5 12.0 ~ 13.5
生地の弾力・粘着力 弱い  ⇦   ⇦   ⇦        ⇨   ⇨   ⇨ 強い
粉の粒度 細かい ⇦   ⇦   ⇦        ⇨   ⇨   ⇨ 粗い
粉の用途 天ぷら、お好み焼き、たこ焼き、ケーキ、クッキー うどん、
餃子の皮
フランスパン、
パスタ、
中華めん
パン、ピザ

 

 

小麦粉の分類や等級については、別の記事で詳しく解説しています。

 

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薄力粉は水を加えてこねたとき、粘り気が少ない小麦粉、強力粉は粘り気が強い小麦粉で、その違いは粉に含まれるグルテンというたんぱく質の量です。 強力粉はパンやめんを作るのに向いていますが、薄力粉でパンを作ると膨らみません。薄力粉はケーキ、[…]

 

米粉、上新粉、白玉粉、もち粉・・・すべてお米が原料

お米から作られる粉には、さまざまな種類のものがあります。よく見かけるものとしては、米粉、上新粉、白玉粉、もち粉、だんご粉などがあります。これ以外にも、並新粉、上用粉なんていうのもあります。

ところでお米には、ごはんとして食べる「うるち米」と、お餅の原料になる「もち米」があるのをご存じだと思います。うるち米ともち米の違いは、お米に含まれるでんぷんの分子構造にあります。その結果、炊飯すると、うるち米は粘り気が少なく、もち米は粘り気が多くなるのです。

うるち米から作られるのが、米粉、上新粉、並新粉、上用粉、
もち米から作られるのが、白玉粉ともち粉、
うるち米ともち米をブレンドして作られるのがだんご粉、
となります。

 

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米粉:小麦粉を置き換えるために最近登場

最近スーパーで、パッケージに「米粉」と書かれた粉をよく見かけるようになりました。米粉は次に説明する上新粉と同じく、うるち米を粉にしたものです。しかし、上新粉は米粉とは呼びません。一体何か違うのでしょうか。一番の違いは、粉の細かさです。

農林水産省では 2017 年 3 月 29 日に「米粉の用途別基準」を公表しました 2)。それによると、米粉の主な用途を、
① 菓子・料理用、
② パン用、
② 麺用、
の 3 つに分け、それぞれ「1 番」「2 番」「3 番」という表記をすることを推奨しています。

具体的には下表に示すように、粉の細かさ、でん粉の損傷度、アミロース含有率、水分含有率などの基準が細かく決められており、この基準にあうものだけが、例えば「米粉 1 番」と名乗ることができます。粉の細かさもレーザ回折・散乱法による粒度分布測定装置で調べたとき、「粒径 75 µm 以下の比率が 50 % 以上」と数値で細かく決められています。

 

 

 

1 番 2 番 3 番
ソフトタイプ ミドルタイプ ハードタイプ
原料 うるち米
粉の細かさ 粒径 75 µm 以下の比率が 50 % 以上
でん粉の
損傷度
10 % 未満
アミロース
含有率
15 % 未満 15 % 以上
20 % 未満
15 % 以上
25 % 未満
20 % 以上 25 % 以上
水分含有率 10 % 以上 15 % 未満
主な用途 柔らかいスポンジケーキ(例えばシフォンケーキなど)、クッキー スポンジケーキ、クッキー、天ぷら粉、お好み焼き粉、唐揚げ粉、惣菜類(とろみ付け等) パン全般 麺全般 強弾力の麺、洋酒に浸すなどの固めのケーキ

 

 

用途を見て、何か気づきませんか。そうです、小麦粉が原料として使われる用途が書かれています。そして、和菓子は見当たりません。つまり、最近登場した「米粉」は、小麦粉を置き換えるのが主な目的であることがわかります。

農林水産省が出した「米粉の用途別基準」の最後には、小さな字で、「上新粉など、既存用途向けの米穀粉は対象としない。」と書かれています。つまり「米粉」と表示されているものは、従来からある「上新粉」とは全く別物ということです。

でも考えてみてください、うるち米を粉砕して作る上新粉も、広い意味では米粉ですよね。なのに、なんでこんな紛らわしい名前を付けたんでしょうか。

お米の粉なんて、ずっと昔から使われていたのに、2017 年になって農林水産省が「米粉の用途別基準」を公表したのには訳があります。米の消費拡大をしたかったからです。そのために米粉の基準を作り、日本米粉協会なる組織を作り、認証制度を作りました。そのあたりの詳しい説明は、別の記事を見てください。

 

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最近、ノングルテンと書かれた米粉を見かけます。ノングルテンとは、グルテン濃度が 1 ppm 以下という意味なんだとか。一方で、グルテンフリー認証と表示してあるものや、何も表示されていない米粉もあります。何が違うのでしようか。ノングルテンの方[…]

 

上新粉:昔からあるうるち米の粉

上新粉は、精米されたうるち米を水洗いして乾燥し、粉砕機でお米の粒を細かく砕いて作られます。うるち米を粉砕して作られる粉には、上新粉以外に、並新粉(新粉ともいいます)と上用粉というのもあります。

これは粉砕方法の違いによるもので、できあがった粉の細かさが異なります。いずれも和菓子の原料として使われます。粒の粗い並新粉で作ると、風味・歯応えのある和菓子ができ、粒の細かい上用粉で作ると、柔らかい和菓子ができます。

 

 

 

並新粉 上新粉 上用粉
原料 うるち米 うるち米 うるち米
粉砕方法 ロール粉砕2 つのローラーのすき間を通すことで粉砕 胴つき粉砕臼に入れたお米を杵でつくことで粉砕
粉の細かさ 粗い ⇦   ⇦   ⇦             ⇨   ⇨   ⇨ 細かい
主な用途 だんご、すあま だんご、柏餅、ういろう 上用まんじゅう

 

 

白玉粉、もち粉、だんご粉

いずれも和菓子を作る際に使うもので、白玉団子には白玉粉、求肥にはもち粉、団子にはだんご粉と覚えておけば、ほぼ間違いありません。ふだんの生活ではそれで十分なのですが、ここでは何がどう違うのか、説明したいと思います。

違いは、原料と製法です。

まず、白玉粉ともち粉はいずれも、もち米が原料です。精白・水洗いしたもち米に水を加えて臼でひくと、白い液体になります。これをふるいにかけて大きな粒を取り除き、しばらく置いておくと、粉が沈殿します。沈殿した粉を脱水・乾燥すると、白玉粉が得られます。

一方、もち粉は清白・水洗いし、乾燥させたもち米に水を加えずに粉砕し、さらに乾燥したものです。もち粉の方が白玉粉より、粉が細かいといわれています。

だんご粉の原料はうるち米ともち米です。メーカーによってその割合は異なり、米以外のでん粉を加えている場合もあります。だんご粉は、団子を作るためのミックス粉と考えたらよいと思います。だんご粉に水を加えて形を整え茹でると、団子ができます。モチモチ感と歯切れのよさを両立させるためには、もち米とうるち米のブレンドが必要なのです。

 

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片栗粉:ジャガイモのでんぷん

片栗粉のカタクリというのは、ユリ科の植物の名前です。もともと片栗粉は、カタクリの根茎から作られた粉のことでしたが、現在、片栗粉として売られているものは、ほとんどがジャガイモ(馬鈴薯)が原料です。そのため片栗粉は英語で potato starch といいます。

ジャガイモの固形分の 73 % がでんぷんなのですが、これを取り出して精製したものが片栗粉(馬鈴薯でんぷん)です。では片栗粉はどうやって作られるのでしょうか。まず生のジャガイモをすりつぶして、水を加えて液状にします。そして食物繊維、たんぱく質、灰分などを取り除き、洗浄します。そして最後に沈殿したでんぷんを取り出して洗浄することで、片栗粉が得られます。

ところで、でんぷんを漢字で書くと「澱粉」ですが、これは「沈澱」した「粉」という意味です。でんぷんを含む水を静かにおいておくと、でんぷんは水に溶けず、また水より重いため、水の底に沈みます。植物の根からでんぷんを採っていた昔ながらの方法から、でんぷんという名前がついたのでした。

片栗粉は、和食や中華料理のとろみ付けや、揚げ物の調理用粉として使われます。特に、とろみ付けに使われることが多いのですが、これは、片栗粉に含まれるでんぷんが加熱によって糊化する、という特性を利用しています。糊化とは液体の粘度が上がり、のりのような粘り気のある状態になることをいいます。

料理をする方はご存じだと思いますが、片栗粉でとろみを出すときは、粉のまま料理に入れるのではなく、必ず水に溶いた片栗粉を加えます。片栗粉を粉のまま熱い料理に加えると、固まって、ダマ(塊)になってしまいます。ちなみにカタクリの根茎から取った片栗粉にも、加熱すると糊化する性質があったそうです。

コーンスターチ:トウモロコシのでんぷん

トウモロコシに水を加えて粉砕し、乾燥したものが、コーンスターチ(corn starch)です。トウモロコシといっても、そのまま食べるスイートコーンや、ポップコーンに使われるものとは異なる品種が原料で、ほぼ全量が輸入です。

コーンスターチも、水に溶かして加熱すると、とろみをつけることができます。片栗粉のとろみは温度が下がると粘り気が少なくなりますが、コーンスターチのとろみは、冷えても持続するという特徴があります。そのため、プリンの凝固剤やカスタードクリームの原料としても使われています。

このほか、小麦粉や片栗粉と同じように、揚げ物の衣にも使うことができます。またいろいろな加工食品に、コーンスターチが使われています。

さらにコーンスターチは食品以外にも、化粧品、接着剤、工業原料などにも使われています。変わったところでは、コーンスターチに着色したカラーパウダーが、映画の撮影やイベントで使われているそうです。

きな粉:炒った大豆の粉

きな粉は大豆を炒って皮をむき、粉砕して作ります。ふつうの大豆から作ると、黄色の粉ができますが、青大豆から作ると薄緑色の青きな粉(うぐいすきな粉ともいいます)ができ、黒大豆を原料にすると、濃茶色の黒豆きな粉になります。

きな粉は、わらび餅やお餅にかけて食べたり、和菓子の材料というイメージが強いですが、アイスクリームに混ぜたり、牛乳や豆乳に混ぜたりすることもあります。大豆は高たんぱくで食物繊維が多く、食べた後の血糖値の上昇が小麦粉より緩やかになることが知られています。きな粉を使った料理レシピも増えてきました。クッキーやパンを作るときに小麦粉の一部を置き換えることで、低カロリー、高たんぱくのクッキーやパンを作ることができますよ。

大豆には豆特有の味とにおいがありますが、きな粉は最初に大豆を炒っているので、豆特有の青臭いにおいはなく、香ばしいにおいがします。小麦粉、米粉、片栗粉などと比べると、味とにおいがしっかりとついているので、料理に加えるときには、しっかり味が付いたものに加えるとよいかもしれません。

 

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はったい粉:焙煎した大麦の粉

大麦を種皮が付いたまま、うっすらと焦げがつくように加熱し、冷めてから挽いた粉を、はったい粉といいます。焙煎しているためきな粉のような香ばしさがありますが、きな粉がきつね色をしているのに対し、はったい粉は灰褐色をしています。はったい粉の香りは麦茶に似ています。

昭和 40 年代まで、はったい粉はこどものおやつとして食べられていました。はったい粉に砂糖と白湯を混ぜて練り、焼いたものをはったいと呼んでいました。いまでも落雁などの和菓子の材料としても使われるほか、ホットケーキやクッキーなどに混ぜて使うこともあります。

きな粉とはったい粉はどちらも茶色の粉で、焙煎しているため香ばしいという共通点がありますが、きな粉の原料は大豆、はったい粉の原料は大麦です。色も香りも似ているため、互いに代用することは可能です。

サツマイモ粉とタピオカ粉

サツマイモ粉サツマイモをカットし、乾燥した後に粉砕して作られます。ムラサキイモ粉というのもあり、こちらはムラサキイモが原料です。サツマイモ粉は黄色、ムラサキイモ粉は紫色をしており、製菓用や料理用に使われます。

一方、タピオカ粉キャッサバという熱帯地方で栽培されるイモから取れるでんぷんで、ジャガイモから片栗粉を作るのとほぼ同じ方法で作られます。

サツマイモ粉やムラサキイモ粉は、乾燥したイモを粉砕したものなので、もとのイモの色がついていますが、タピオカ粉はでん粉を精製しているので、色は真っ白で、水に溶かすと半透明になります。

タピオカ粉は加熱すると糊化する性質があるため、食品にとろみをつける増粘剤として用いられるほか、ポンデケージョというブラジルでよく食べられるチーズパンの材料にもなります、さらに糊化させたタピオカを回転させながら雪だるま式に球状に加工し、乾燥させたタピオカパール(スターチボール)がタピオカミルクティに使われています。

タピオカ粉もイモから取れる粉なので、Amazon などで台湾産のタピオカ粉(中国語で地瓜粉)がサツマイモ粉として売られているようです。しかし、サツマイモ粉とタピオカ粉は、原料も製造方法も全く異なる別物です。

こんにゃく粉:でんぷんを含まない

乾燥したコンニャクイモ(サトイモ科)を細かく粉砕して粉にしたものが、こんにゃく粉です。こんにゃく粉にはでんぷんは含まれておらず、主成分はグルコマンナンという食物繊維です。

グルコマンナンは、ヒトの体内では消化・吸収されません。そのため、同じ重さで比較すると、米粉の半分ほどしかカロリーがありません。

こんにゃく粉は、こんにゃく、糸こんにゃく、しらたきの原料です。また最近では、低カロリーのこんにゃく麺も作られています。こんにゃく粉で小麦粉や米粉の一部を置き換えた食品を見かけますが、そのほとんどが食品のカロリーオフを目的としています。こんにゃく粉で代替することで、消化・吸収されるでんぷんの量を減らしていることになるわけです。
小麦粉の代わりに使われることが多い、こんにゃく粉と米粉を、重量 100 g あたりで比較してみました3)

ただ、こんにゃくには独特の味・においと、ぷにぷにした食感があります。こんにゃく麺には、こんにゃく独特のにおいがあり、小麦から作られる麺とは全く違ったものです。一方で、こんにゃくを使ったゼリーも多く販売されています。こちらはゼリーに果物の味と臭いを強めに付けているため、こんにゃく臭を感じることなく、食べることができます。

 

 

 

エネルギー
(kcal)
水分
(g)
たんぱく質
(g)
脂質
(g)
炭水化物
(g)
利用可能
炭水化物計 (g)
でんぷん
(g)
こんにゃく粉 194 6.0 3.0 0.1 85.3 5.4 0
米粉 356 11.1 6.0 0.7 81.9 82.2 74.2

 

本葛粉と本わらび粉:生産量が少ない

葛餅、葛湯、葛切りと、葛と名前の付いた食べものはいろいろあります。これらは、マメ科のクズという植物の根から採ったでんぷんである、本葛粉から作られていました。しかし本葛粉の生産量が少ないため、値段の安い商品は、片栗粉(ジャガイモでんぷん)から作られています。

わらび餅も同様で、もともとシダの仲間であるワラビの根から採ったでんぷんである、本わらび粉を使っていましたが、こちらも生産量が極めて少ないため、多くのわらび餅は、ジャガイモやサツマイモのでん粉から作られています。

まとめ

食用に使われる粉のうち、穀物やイモ類から作られるものを集めて、比較してみました。

比較的よく使われる小麦粉、米粉でも、用途によっていろいろな種類があることに驚きました。特にお米から作られている粉だけでも、上新粉、米粉、白玉粉、もち粉、だんこ粉と、細かく分かれているんですね。

ふだんの生活でよく使うのは、小麦粉、片栗粉、米粉くらいだと思いますが、それ以外にもいろんな粉があることもわかりました。これらの粉を上手に使うことで、料理のバリエーションは無限に広がります。また小麦粉を米粉に変えることでグルテンフリーになりますし、揚げ物に使う小麦粉の一部を別の粉に置き換えることで、カロリーオフにもつながります。

さらに、葛もち、葛きり、わらび餅は、もともと使われていた粉とは別の粉で代用されていたんですね。本葛粉の葛切り、本わらび粉のわらび餅も、機会があれば、ぜひ味わってみたいものです。

 


参考文献

1) 農林水産省、令和元年度 食料・農業・農村白書(令和 2 年 6 月 16 日公表)

2)『米粉の用途別基準』及び『米粉製品の普及のための表示に関するガイドライン』の公表について、農林水産省政策統括官、平成 29 年 3 月 29 日

3) 文部科学省、日本食品標準成分表 2020 年版(八訂)